男の離婚と女の離婚はどう違うの?
男の離婚と女の離婚はどう違うのでしょうか?
女性の離婚指南本は世の中に溢れかえっていますが、男性向けの離婚解説本は驚くほど少ないです。
※なぜ少ないのか?ということは、この記事の最後にお伝えします。
離婚に関する法律は男性用と女性用で分かれていないはずなのですが、実際離婚準備を始めるとその差を痛感することになるでしょう。
本記事では、男性が離婚準備を始めるにあたって、把握しておくべき男女の離婚準備の違いを男性目線で解説していきます。
男性の前に立ちはだかる3つの壁
まず、離婚問題における男女差を紹介する前に、離婚問題で一般的に議論すべきことについて紹介します。離婚問題で議論すべきことは、大きくは3つです。
- 離婚の可否
- お金のこと(慰謝料、養育費、財産分与)
- 子供のこと(親権、監護権、面会交流)
また、それぞれの問題は、それ単体で割り切って考えることのできるものではありません。
例えば、離婚すること自体は合意できても以下のな理由で離婚できないことは珍しくありません。
- 離婚は合意しているが、財産分与で折り合いがつかない(お金でもめる)
- 離婚は合意しているが、親権は譲れない(子供でもめる)
もし、お互いが歩み寄れなければ、最悪裁判にまで戦いの場を移すことになるでしょう。
それでは、それぞれについて順に説明します。
離婚の可否(①)
離婚問題は、合理的に割り切れる問題ではありません。「死んでも離婚しない」という結婚に対する執着心を持っている人もいます。
実際に報告されたケースでは、以下のようなものがあります。
- 世間からの目が気になるから、絶対に離婚しない!
- 「一生大切にする」、「一生寄り添う」といった責任を果たせ!
以上のように、離婚することが合理的だったとしても離婚を拒否する女性も存在するのです。
感情面のことを掘り下げていくのも、興味深いテーマではあります。しかし、これは合理的に考えられる問題ではありませんので、これ以上深入りはしません。
しかし、意外と盲点になっていることもあるので、離婚を切り出した時に奥さんがどのような反応をするのかは事前に考えておく必要があります。
単に時間をかけて説得すれば交渉が前進するケースもあれば、ハッキリと「愛がなくなった」と伝えても解決しない場合もあります。
男性が直面するお金の問題(②)
あくまで一般論ですが、男性は女性よりも稼ぎがいいです。
そのため、離婚問題では必然的に男性が「お金を支払う側」になることが多いです。
この状況が離婚問題において、男性を不利な状況に追い込む原因の一つになっています。
具体的なお金とは以下のようなものです。
- 財産分与
- 婚姻費用(別居中の妻・子供の生活費)
- 養育費
それでは順に説明します。
財産分与(②-A)
多くの男性は納得できないかもしれませんが、結婚後に築いた資産は、夫婦の共有財産になります。
つまり、妻が朝起きないで昼まで寝ていたとしても、ろくに家事をしなかったとしても、財産の半分は原則、妻に持って行かれると考えておいて下さい。
多くの人に男性にとって一番の資産は、「不動産」だと思います。離婚を視野に入れているのであれば、いち早く不動産の価格を調べておく必要があります。
なぜならば、多くの女性は「家は引き渡してほしい!」と要求してくるからです。特に子供がいる場合、母親が親権をもつ場合は生活環境を変えたくないという親心も働くようです。
そのような状況で、不動産の価格を把握しておかないと「売却する」、「妻に物件を引き渡す代わりにお金をもらう(もしくは慰謝料・養育費を減額)」などの選択肢のどれが一番合理的なのかの判断ができません。
近年では、不動産業社を自らの足で一件一件回る必要もなく、簡単に不動産価格を一括で見積もりしてくれるサービスが充実しています。
以下の記事では、不動産の一括見積サービスを無料で効率よく利用するコツを紹介しています。
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また、財産分与で気を付けるべきことは不動産価格を調べるだけではありません。
妻に夫婦の資産管理を任せている場合には、こっそり夫婦の財産が隠されていないか確かめることを強くおススメします。
「そんな馬鹿な!」と思った方、今どれくらいの資産を持っているか正確に答えられますか?
離婚を切り出された夫の中には、退職間際に妻から離婚を切り出され、財産分与の話になった時に、預貯金の残高が想定よりも圧倒的に少ないという事態に直面する人もいるそうです。
「全て使ったわよ。貯金なんてあるわけないでしょ。」という妻の言葉に対して、資産があることを立証するのは一筋縄ではいきません。
例えば、妻が自分名義の隠し口座をつくった上で、他の口座からの振込を一切せずに現金を貯め込む手口で財産を隠せば、それを暴くのは難しいと思います。
裁判所に訴えようにも「○○銀行○○支店」というくらいの情報がなければ、調べようがないのが現実なのです。くれぐれも注意しましょう!
婚姻費用(②-B)
婚姻費用とは、別居中の妻・子供の生活費のことです。
別居中であろうと婚姻関係がある場合には、収入が妻より多い男性は、婚姻費用を支払う義務があります。
同居している最中は意識することがないかもしれませんが、婚姻関係を結ぶ夫婦はお互いに「夫婦扶養義務」があります。
つまり、夫婦にはお互いが同水準の生活を保証し合う義務があるのです。夫だけがいい生活をして、妻が貧困状態になるのは認められません。
そのため、どんな理由であれ(妻が浮気をしても!!)妻が別居をしてしまえば、男は婚姻費用を支払う必要があります。(支払う金額については闘う余地がありますが、詳細は省略します)
そして、この婚姻費用こそが、ボディーブローのように夫側にダメージを与える武器になるのです。
なぜならば、交渉が長引けば長引くほど、夫は妻にお金を支払わなければいけないからです。
夫側の中には、金銭的なプレッシャーに耐えきれず、しぶしぶ離婚に応じざるを得なくなる人もいます。
一方妻は、離婚が長引いても別居中の婚姻費用が保証されるので、特別な事情がない限り交渉が少し長引いたぐらいでは、痛くも痒くもありません。
結局、妻が納得する離婚条件でない限り、離婚を成立させないという戦略が成立してしまうのです。
いかがですか?夫側がいかに不利な状況にあるか認識されたのではないでしょうか。
婚姻費用は離婚を成立させるまで支払わなくてはなりませんし、その費用の負担は軽くはありません。
もしも、夫側が強く離婚を望む一方で、妻が離婚に後ろ向きな場合には、長期間の別居を理由に離婚を成立させるためには、3年~5年前後といわれていますので、最大でその期間分の婚姻費用を請求される可能性があります。
なお、別居により離婚が認められる期間は、置かれている状況によって変動します。
- 妻が浮気やDVをしている証拠がある場合⇒速やかな離婚成立が可能です。
- 妻も夫も非がない場合(どちらかが浮気やDVをしていも立証できない場合も含む)⇒3年~5年前後
- 夫が浮気やDVをしている証拠がある場合⇒10年前後
※ 上記の期間は「目安」です。近年は短縮化傾向にあると言われています。
なお、妻にも夫にも非がない場合には、このようなやり取りが想定されます。
妻:今すぐ離婚してあげてもいいけど、わたしが受け取れると想定される3年~5年分の婚姻費用を支払うことを約束しなさい!!
夫:そんなの払えるわけないだろ!!
妻:それなら、離婚は急ぐ必要はないわ。。決心がついたら連絡ちょうだい!
夫:・・・・
どうですか???
男性としては、たまったものではありませんよね。
もし、夫側であるあなたの浮気が妻にバレてしまったらと考えると、冷や汗ものだと思います。(10年分の婚姻費用!!は考えたくもない!!)
さて、ここまでをまとめていきます。
男性側が取れる選択肢を思いつく限り、箇条書きにしてこの章をおわります。
- 奥さんに余計な知識がつく前に、感情的に離婚の判を押させる
- 奥さんのDV、不貞行為の証拠を突きつけて有無を言わさず離婚する
- 奥さんに仕事があり一定以上の所得がある場合には、時間をかけて説得する
- 奥さんから離婚を申し出て来るように仕向ける
- もし交渉がこじれてもいいように貯金しておく
養育費(②-C)
養育費も、婚姻費用と同様に、一家の稼ぎ頭の男性が支払う必要がある可能性が高いです。(もちろん男性側の稼ぎが良い場合)
いつまで支払うかといえば、子供が成人するまでというのが一般的ですが、大学卒業の22歳までという場合もあります。
昔は、離婚後に夫が妻側に養育費の支払いをする割合は3割程度でした。
しかし、元夫の口約束を信じてはいけないということを思い知った女性は今では賢くなっています。
口約束では信用できないとばかりに、「公正証書」という形で離婚条件の取り決めを残そうとします。
仮に公正証書の内容どおりに、養育費を支払わないということをすれば、仕事先の給与を差し押さえられてもおかしくありません。
そのため、「公正証書を作らないと離婚に応じない」という女性が増加しているのです。
ちなみに、親権や公正証書の有無に関わらず、子供を養育する義務から解放されることはできないので注意して下さい。
男性が直面する子供の話(③)
お金の話の次は、男性が直面する子供の話をします。
結論から言えば、男性が親権を勝ち取ることは、難しいのが現状です。
「妻が別居と同時に子供も連れ去った」という場合は、夫が親権を勝ち取るのは困難です。
なぜならば、裁判所が子供の親権を決める際の基準の一つに、「現状維持」という基準があるからです。
つまり、一度母親が子供を連れ去ってしまった場合は、連れ去られた先の現状を維持するのが適当だと判断される可能性が高いのです。
欧米では、この子供の連れ去りは、「犯罪」に問われる可能性だってあります。欧米では離婚成立後であっても、親権を夫婦で共有することは珍しくないそうです。
しかし、日本では単独親権が一般的ですので、あくまで親権は夫婦のどちらか一方が専有します。
そして、日本では離婚前であっても、妻や夫による離婚成立前の連れ去りが黙認されている状況が続いています。
日本も国際的な基準に沿うべく、「ハーグ条約」というものを批准しましたが、条約の適用は「国際結婚」に限定されているのが現状です。
ただ、近年では父親が親権を取得する事例も多くなっており、潮流は変わってきているという印象があります。とはいえ、一度連れ去られたら親権争いは一気に不利になるという現実は覚えておきましょう。
ちなみに、連れ去られたから無理やり連れ戻すという行為をすると、未成年者略取誘拐の罪で逮捕される可能性がありますので注意して下さい。
まとめ
本記事を読んでいただいた方は、離婚問題は男性に不利ということをご理解いただけたのではないでしょうか?
そのことが、男性側から離婚問題を論じることが少ない原因の一つになっていると思います。
ここからはあくまで個人的な意見ですが、、、、
離婚問題に関わるビジネス関係者にとって、男性よりも女性側の味方についたほうが実入りがいいことが多いです。なぜならば、男性側がお金を支払う状況のほうが圧倒的に多いからです。
妻の味方になって、男性からお金を搾り取るほうが、儲かるのは間違いありません。男性の味方になっても経済力がない女性からお金は搾り取れません。
ない袖はふれないですから、仕方がありません。だからこそ、男性側が離婚問題に取り組むのであれば、「先手」を打つほかありません。
「私は妻を信じています!」と盲目的に信じるのはやめにしましょう。
- 財産の管理は妻に任せ切りにするのではなく、共同で管理しましょう。
- 妻に浮気している予兆があれば、家を飛び出される前に証拠を掴みましょう。
- 子供を連れ去られる前に、実家の親でもなんでも呼び寄せましょう。
本記事の内容が、あなたの参考になれば幸いです。