平成28年度の調査によれば、養育費の受給率は26.1%です。(離婚による母子家庭の場合。つまり未婚は除く)
ネットニュースを見ていると「養育費の受給率は2割程度」という情報を耳にすることもあると思いますから、驚くべき数字ではないと思います。
しかし調査結果を公表している厚生労働省の公式情報を確認すると、より詳しく養育費の実態が浮かび上がります。
本記事では厚生労働省の公式情報を紹介しつつ、もう少し詳しい解説を加えたいと思います。
養育費の受給率はどれくらい?
- 養育費の受給率
- 調査結果からわかること
養育費の受給率(1)
調査結果からわかること(2)
- 養育費は支払われなくなる
- 契約書がないよりあったほうがいい
- 養育費の取り決め率は46%
養育費は支払われなくなる(2-1)
離婚による母子家庭のうち、養育費を「現在も受給している」のは26.1%、「過去に受けたことがある」のは16.1%、「受けたことがない」のは53.4%です。
- 現在も受給している ⇒ 26.1%
- 過去に受けたことがある ⇒ 16.1%
- 受けたことがない ⇒ 53.4%
つまり離婚した当初の養育費受給率は4割程度あるものの、そのうちの約4割が養育費を支払わなくなることがわかります。
ちなみに養育費が途中から支払われなくなる詳しい理由は調査されていないのでわかりません。
契約書はないよりあったほうがいい(2-2)
協議離婚以外の離婚タイプ(調停離婚、裁判離婚)では、調停調書や裁判調書などの公文書が発行されます。
公文書は裁判所が作成する書類ですから、高い信頼性が認められます。そのため、離婚後に「言った言わない」のモメ事になりにくいのです。
母子家庭の受給率の状況をみると、協議離婚の場合に養育費を「受けたことがない」のは59%ですが、その一方でその他の離婚(調停離婚、裁判離婚)では30.2%です。
養育費の取り決め率は46%(2-3)
厚生労働省の調査では、離婚による母子家庭1,637世帯のうち、養育費の取り決めをしている世帯は756世帯でした。つまり離婚により母子家庭になる世帯のうち、46%が養育費の取り決めをしていることがわかりました。
しかし注目すべきは、約半数もの世帯が養育費の取り決めをしているにも関わらず、養育費を「現在も受けている」世帯は26.1%しかいないという事実です。
あらためて調査結果を眺めると、養育費の取り決めをしているにも関わらず養育費を支払っていない人が意外と多いことがわかります。
- 現在も受給している ⇒ 53.3%
- 過去に受けたことがある ⇒ 25.7%
- 受けたことがない ⇒ 17.1%
なぜ養育費に関する約束を破られた状況を、そのまま放置するのでしょうか?
詳しい理由は調査されていませんが、おそらく「養育費の支払い能力がない」、もしくは「交渉するのが面倒」のどちらかだと思います。
一流企業がある日突然傾く時代ですから、養育費の支払い能力がなくなる状況に陥る可能性は十分あります。また離婚後に元配偶者に「カネ払え!」と交渉することを億劫に感じる女性も多いのでしょう。
最後に
離婚時に養育費の取り決めをした母子家庭は、約半数いることがわかりました。しかし養育費の取り決めをした世帯の約半数が、養育費を支払っていないのです。ちょっとショッキングな数字ではないでしょうか?
女性向けの離婚情報発信サイトでは、「養育費を支払ってもらうために、しっかり話し合いましょう」とアドバイスされています。
しかし調査結果だけみれば、「しっかり話し合っても、カネがもらえるとは限らない」という事実が浮かび上がるのです。